〜プロローグ〜
かつて竜を中心に、人間や亜人種が共存している世界があった。
竜は自然の力を借りて使う《魔法》を人々に与え、彼らの生活を豊かにしていた。
しかし、ある頃を境に人間は新たなる力――
蒸気のエネルギーで動く《機械》を手に入れる・・・。
自然を切り開いて次々と資源を採掘し技術を発展させていく者たちに、竜は幾度となく警告をした。
しかし彼らは、魔法よりも便利でだれにでも使える《機械》を手放すことはせず、ついに竜に反旗を翻した。
長きに渡る戦争が行われ、恐るべきことに竜は倒されこの世から消え去った。
また、竜族に属していた竜人(サラマンダー)たちも何処かへ姿を消してしまった。
そして世界は人間を中心とした新たな時代を迎えるのだった。
それから200年あまり
《機械文明》を中心に発展した者たちはルドラ帝国を築きあげてリーガロノクト大陸を支配していた。
技術を発展させ続ける帝国の力は大きく、かつて存在した国や文化も、
竜と自然を失ったことで帝国に抗う事はかなわず帝国の属国となっていった。
自然を食い潰し、次々と広がる《機械》文明に抗うものはほんの僅か。
機械文明を否定し、竜と自然を尊重するものたちだけである・・・。