短編小説 1話 冒険家トーマス・ウェル

2017-09-15 22:21:18

ん? なんだいアンタ。

なんだか聞きたいことがあるって顔してるな?
俺から情報が欲しいって言うなら……
そうだな。一杯奢ってくれるってなら、少しくらい教えてやっても良いぜ。

――へへっ。ありがとよ。

見たところ旅人か、駆け出しの冒険者って感じだな。いいぜ、何でも聞いてくれ。

なに? ディアマールについて聞きたいのか?

それくらいならお安い御用だ。

交易産業都市ディアマールってのはな、ここから数日行った所にあるモーデン地方で一番デカい街だ。
元々は造船を生業にしてた職人の町だったらしいが、今は帝国とかの依頼で蒸気船造りや、ガジェット職人が多い街で、
ついでに言えば、アンタみたいな旅人や冒険者、商人、平穏を求める者たちがよく集まる場所さ。
アンタも冒険者になろうってなら、あそこで経験を積むのがこの辺りだと一番堅実な判断だろうな。

平和な町だけあって、色んな人種が集まってくるもんでエルフやドワーフ、ミクルフなどの種族もウロウロしているな・・・・まあ、活気づいた町だ。

ただし、自由都市として認められちゃあいる町だが、についてはあまり口には出さない方がいい。
帝国の管理下にある町なのは間違いないからな・・・。
いろんな考えのやつが集まる街ではあるが、それについてタブーだ。

竜信仰な奴らは表立って歩くことはなかなか出来ないからな…

ああ、悪い悪い。

この世の中の常識だが、一応知っておいた方がいいとおもってな!気を悪くしないでくれよ。

そうそう、まずディアマールについたら目指す場所は、交易地区にあるメリメロボ通りに行くといい。

昼はアンタたちの様な冒険者や旅の行商達が自慢の商品を並べてその広場でバザーを開いたりしてる。たまに吟遊詩人たちがが演奏をしててそりゃ賑やかってもんさ。

 

夜は夜で、仕事を終えた職人連中が戻ってきて、下町の酒場で安酒片手にドンちゃん騒ぎだ。
昼とはまた違った連中が、楽器片手にやってきて面白おかしく演奏しててな。
それにつられて、ついつい皆で飲めや歌えやと賑やかなもんだったよ。

その酒場がギルドも兼ねてるから、新人冒険者におあつらえ向きの仕事を用意してくれるはずだ。

どんな仕事があるかって?

そうだな・・・・・・簡単な仕事なら、それこそ失せ物探し――まあ簡単な捜し物だな。

他にもなにか依頼があった気もするが、悪いな。忘れちまったよ。まあ本当に知りたきゃ自分の目で確かめるこった。

なに? 俺の名前だって?

ははっ、そう言やぁ名乗ってなかったな。

俺の名はトーマス。トーマス・ウェルだ。

世界を股に掛ける冒険家さ。

また何処かで会うことがあったら声を掛けてくれよ。俺の知ってることくらいなら話してやるさ。

 

それじゃあ、良い冒険をしろよ!

 

 

 

 

第1話 冒険者トーマス・ウェル 完

原案 Aoi shirasame

編集 esta

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