ドワーフ達が住まう町、地下炭鉱都市ムードリアスは4年に一度行われるお祭りの時期だ。
普段はまじめに働くドワーフもこの日はお休み。いつも大きな音を鳴らしながら動く作業用大型ガジェットも止まっていて、町に広がる音はたくさんの観光客や冒険者の声で埋め尽くされている。
ドワーフの商人のほかに、旅の商人や楽団、大道芸人も集まって大賑わいもいいところ。
今日ばかりはドワーフ以外の種族も歓迎ムードになっていて、ヒュム、ミクルフのほかに普段嫌っているエルフもいるぞ?
今日の祭りは現在のドワーフの繁栄の礎を築いた先祖たちを称える祭り。
祭りの最後には4つある氏族の代表が一対一で戦う「ウォーアーツ」と呼ばれる大人気の催しが行われる。
ムードリアスのあらゆるところにポスターが張られているぞ!!!
氏族代表に選ばれるだけでも名誉なことだが、優勝すればドワーフの英雄として氏族以外からも尊敬される。
さらに、優勝した氏族に賞金も貰えることになっているので、ドワーフたちは自分の氏族を応援したり、勝たせることに必死になったりでいろんな意味で熱が入っているみたいだ。
そんなお祭りで大盛り上がりであり、大忙しなドワーフ達に一つの連絡が入る。
<帝国の将軍さまがガジェットの視察にムードリアスへ来訪される>
例年、祭りではウォ族による新型ガジェットの展示をしているが何も祭りの日でなくても・・・・・と戸惑うムードリアスのドワーフ達。
ウォ族のガジェットを帝国に大量に卸しているということもあり、ドワーフにとってルドラ帝国はお得意様の様な関係。さらに将軍さまとなると丁重に扱わなければならない。
ムードリアスのドワーフ達はソワソワしながら将軍の来訪を待つ。
ウォ族の代表であり、ウォーアーツ2連覇中である英雄ウォルオウフが帝国将軍を案内することになった____
帝国六将軍ザラキエルを案内し、特に問題もなく視察が終わりドワーフたちは一安心。
「ああ、美味しい酒が飲めるぜ!!」
祭りの最中でもギルド受付は稼働しており沢山の冒険者がクエストを確認している。
~ムードリアスのギルドクエスト~
①ムードリアス探訪
②ドワーフの宝
③手紙の持ち主
④原因不明の病
⑤謎のルーン
⑥腕利きの冒険者求む
⑦響き渡る歌声
③手紙の持ち主 を受注してみようと思う。
ギルドの受付より、この手紙の持ち主を探してくれとのこと・・・。
手紙のあて名は
<青き短髪の姫へ>
送り主は
<カヌチ 最後は鍋底の残り物より>
「・・・いや、まったくわからない!!!」
クエスト受付のドワーフたちには「中身はプライベートだから・・」と、言われたが意味不明すぎてこれでは見つけられないと思い、封を開けて手紙の内容を確認することに。
銀嶺から差し込める朝日を浴びて思い出す。
火花が体中を駆け巡り、心臓を焼かれたあの日。
君にとっては些細なことかもしれないが、
僕にとっては大槌で叩かれたほどの衝撃でした。
それは小さな衝撃でさえも燃えてしまう様な
それは僕の生活になくてはならないような
それは僕の体の一部だったかのような
溢れ出すこの想い。
君がくれた機石が僕に勇気を、奇跡をもたらせてくれる
歳月という風が吹きすさぼうとも、消えない炎。
声に出来ない思いを文字に込めて。
・・・・これは・・・・ポエム??ラブレター??
もしかして、誰にも見つからないように隠していたのに、炭鉱夫のファ族に掘り出されたってわけか・・・・
封を開けたことにより、なんだか本人を探すのが悪いなと思ったのでこのクエストはあきらめることに。
そうこうしていると、何やらミクルフの女の子が大きな声で叫んでるぞ??
「サングさんが幼馴染からもらった機石を落としたんだって~~!!一緒に探してくれないかな~?」
あのミクルフに見つけてもらったようだが、なんだか恥ずかしそうにしていたな。
一見、寡黙な男に見えるが幼馴染から貰った首飾りを大事にしているという何ともロマンチックというか。ん?ロマンチック?
・・・・いや、まさかな。
(小道具提供・機石制作 Ctrl+S )
ムードリアスに集まった旅人や冒険者たちがムードリアスの祭りを自由に楽しむ。
楽しい時間はあっという間で、祭りも終盤。
ウォーアーツの準備が始まった。
町中にいるドワーフや冒険者がウォーアーツの試合会場に集まり始めた。
おや?実況席に座っているのは誰だ??ドワーフではないようだが・・・・。
まあ、そんなことはどうでもいい。ウォーアーツが楽しみだ!!!さて、誰を応援しようかな?熱い戦いに期待しよう!!!
今大会優勝者はサン続代表のサングに決まった!!
サン族とサング、そしてドワーフに捧げる歌とともにムードリアスの祭りが終わりを迎えたのであった______.
LIFEisFANTASIA
~職人ドワーフの秘めたる機石~ END
写真撮影 暁
動画撮影 タケディ
動画編集 エスタ
AFTER STORY~サングとグルアイ~
ウォーアーツ優勝後にドワーフの風習によりグルアイに告白したサング。幼き頃からの想い人であるグルアイに気持ちを伝える時はウォーアーツに優勝した時と決めていたサング。しかし、いざとなったら告白はできなかった・・・でも、そんな彼の勇気と気持ちはグルアイにしっかりと届いていた。
後日、静かになった酒場にて・・・・
グルアイ「へぇ~~~この機石、あれからずっと大事にしてたんだね。てか、子供のころだったから、あの時からだと30年は経ってるじゃないさ」
サング「そうだな」
グルアイ「はぁ、そんだけ想ってくれてたんだったらちょっとはアピールしてくれたら良かったのにさ!」
サング「す、すまない」
グルアイ「まあいいや。それはそうと・・・コレ、私がもらうよ!」
サング「え??」
グルアイ「いいじゃん、夫婦になるんだから。サングのモノはアタシのモノでしょ!?」
サング「あぁ・・・・・。そ、そうだな。ありがとう、グルアイ」
グルアイ「はぁ・・・アンタも早く呼び名を変えなよ、今からグルサンなんだから」
サング「グル・・・・・サン・・」
グルサン「てか、身体中がアザだらけになってるんじゃないの??ちゃんと手当してないとさ~~」
サング「・・・・・・」
”Happily Ever After.”